”原価率を下げる努力にも限界”と業界悲鳴 相次ぐ迷惑行為が「回転寿司の一斉値上げ」につながる可能性
回転寿司チェーン大手で利用客の迷惑行為が相次いで注目を集め、社会問題化している。
「はま寿司」でレーンを流れてくる他人の寿司にわさびを付ける男性客の動画や、「スシロー」店内で、醤油ボトルや
湯呑みをなめてから元に戻す客の動画がSNS等を通じて拡散された。運営会社が警察に被害届を提出するなどの
事態に発展しているが、日本ならではの回転寿司という業態の在り方にも大きな影響を及ぼすことになるかもしれない。
「原価率が高いことで知られる回転寿司チェーンでは、徹底的に人件費を削ってきた。店内を見渡しても店員の姿は
ほとんどなく、会計ボタンを押してもなかなかやって来ないほど。今回の一連の騒ぎは、そうした状況が裏目に出たかたちだ。
AIカメラシステムを使ってテーブルを監視するなどの方向で対策が進んでいるが、客の迷惑行為を監視するために原価率を
上げなくてはならないという事態は各社とも想定していなかったでしょう。原材料値上げに加え、設備費や人件費も増やさざるを
得ず、一斉に値上げに向かうのではないか」
回転寿司の歴史は原価率との戦いだった。1皿2貫が100円、客単価1000円、客席200席、1日5回転が郊外にある回転寿司店の
平均的な売り上げとされるが、「原価率15~30%が一般的とされる飲食店の中で、回転寿司は原価率が40~60%と高い」(同前)
ことで知られている。そうしたなかで各社は様々な工夫を重ねてきた。食品商社関係者はこう言う。
「全皿が100円均一の場合、原価の高いネタはウニが約85円、マグロ約75円、イクラ約70円といった具合です。
これらの人気商品については、赤字覚悟で客の満足度をアップさせるのが大手回転寿司チェーン共通の経営方針。
もちろん原価が高いネタばかり出れば店の利益は薄くなるが、ファミリー客の利用が圧倒的に多いため、子供が好きな
タマゴやエビ、ツナコーンなどを食べてもらうことでバランスが取れるようになっている」
この関係者によれば、主に魚を使っているメニューは原価率が高く、タマゴなど魚を使っていないメニューは原価率が低いという。
加えて「生」とつくネタは冷凍ものより原価が高く、赤貝やつぶ貝などの貝類も高い。エビは種類が多くまちまちだが
基本的には原価を抑えやすく、とくにボイルエビは安いとされる。「コハダは中国産の冷凍が多いが、コハダが美味しい店は他のネタも美味しい」(同前)のだという。
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