ふるさと納税の本来の趣旨に反するとして、2008年の制度開始以来、ずっと返礼品を提供してこなかった千葉県。だ
が、23年度から初めて「解禁」することになりそうだ。返礼品として検討されているのは、県内で大量繁殖している特
定外来生物「キョン」の肉や皮革製品。肉などを消費することは駆除に協力することにもなるため、「地域を応援する」
という制度本来の目的にかなうものだと判断した。
キョンは小型のシカの仲間で、もともとは中国南部や台湾に生息していた。房総半島や伊豆大島では観光施設から逃げ
出した個体が繁殖し、農作物などの食害が問題となっている。県自然保護課によると、21年度は県内で8587匹を駆除した
ものの、推定生息数は約6万7300匹とシカ(約4万3500匹)を上回っている。
キョンは台湾で高級食材として扱われている。県内では駆除後に食肉処理できる施設などが限られていることもあり、
食肉としての流通はごくわずかにとどまり、駆除した個体の多くは廃棄処理されているとみられる。「奪った命を何かの
役に立てたい」と考えた同課が思い至ったのが、ふるさと納税の返礼品にすることだった。
同課によると、1万~3万円の寄付をしてくれた人に対し、スライスした肉や革製の財布などを贈る方向で検討を進め
ている。肉の量は捕獲数に応じて変動する見通し。県は23年度に「有害鳥獣捕獲協力隊」(仮称)を創設することにし
ており、ふるさと納税による賛同者は「寄付隊員」と位置づける。寄付金はキョンを捕獲するためのおりの購入費に充
てるという。
返礼品がなかったためか、21年度の県へのふるさと納税の寄付額は、47都道府県で最も少ない361万3000円にとどま
っている。同課は「ふるさと納税を通じて、外来生物問題や狩猟、食肉加工への理解を深めてもらいたい」と期待して
いる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/082134f5e1fe1d21548b5...
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