グラスの液体は黄金色で、泡立ち、ほろ苦かった。ポーランド国境に近いドイツ東部ノイツェレ(Neuzelle)のビール醸造所でシュテファン・フリッチェ(56)さんがつくった新作は、ビールそのものだ。
しかしそれは、水に粉末を溶かすという、画期的な製法でつくられたものだった。フリッチェさんはAFPに、「誰にでも自家製ビールはつくれる」と話した。
製法は今年になって完成。ノンアルコールで、炭酸が入っていないため発泡しない。
アルコール入りも開発中だ。そして炭酸入りも。そうなれば通常のビールにさらに近づく。
粉末ビールは瓶入りビールに比べ、長距離輸送が容易で、その分コストが低減できる。主要市場はアフリカとアジア諸国を想定している。
一方、ドイツ国内は500年間にわたって「ビール純粋令」に支配されてきた。普及はスムーズにはいかなさそうだ。
フリッチェさんの醸造所のウェブサイトには、「特にドイツのピルスナー愛飲家やクラフトビール愛好家がわれわれの製品に最初は懐疑的な態度を示しそうなことは了解済み」とあった。
純粋令では、ビールの原料は麦芽、ホップ、酵母、水のみと規定されている。この厳格なルールの下で、粉末ビールがそもそもビールとして販売できるのかも不透明だ。
フリッチェさんは粉末の原材料を明かさなかった。ただ、世界は持続可能な問題解決の道を必要としており、そのために資することになると語った。
現在、粉末ビールの販売に向け投資家と最後の詰めを行っている。4か月以内にも販売にこぎ着けられればと考えている。
https://www.afpbb.com/articles/-/3465875?cx_part=com... 【「ビール純粋令」とは】
1516年4月23日にバイエルン公ヴィルヘルム4世が制定した法。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」という内容の一文で知られる。現在でも有効な食品に関連する法律としては世界最古とされている。
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