親族間で起こる近親殺人というのは、被害者家族が同時に加害者家族でもあるという極めて特異な状況です。
日本の殺人事件は昭和30年代をピークに年々減少傾向にあります。
ここ数年の殺人認知件数は1000件を下回っています。
そして驚くことに、そのおよそ半数が親族間による殺人事件です。
その背景には、主に3つの要因があります。
まず、「家族の在り方の変化」です。
かつての日本は大家族で生活をしていたので、当然色々な人が1つの家の中に居ました。
従って、家庭の中に一対一の濃密な共依存関係は存在しませんでした。
ところが、現代はどうでしょうか?
地域とのつながりが薄れ、核家族・少子化が進んできました。
そしてかつては「子は勝手に育つ」ものであったのに、現代では「子は親が育てる」ものに変化し、
その結果、家庭の中がますます濃密になりやすくなってきました。
大らかであった家庭内の空気がギスギスしたものへと変化を遂げました。
次に「貧困の問題」です。
親を介護する子が実は経済的に親に依存している。
極端な言い方をすれば、貧困の中での共依存関係。
貧困者(子)がもう一人の貧困者(親)に自分の人生を託せざるを得ない状況が生まれているということです。
最後は「家族の中に精神障碍者が増えてきている」ということです。
そしてそういった人たちの社会での受け皿がなくなってしまったということが大きな問題となっています。
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