夏休みの「自由研究」は誰のもの?
所有権をめぐり学校と生徒が争うドロ沼訴訟の行方
https://www.sankei.com/article/20240311-FOVSS7FFUZKR7... 夏休みの宿題で提出した自由研究を学校が紛失したか廃棄
したとして、兵庫県内の公立中学校に通っていた、きょう
だい2人らが学校側に損害賠償を求める訴訟を起こした。
「特選」に選ばれるほど渾身の力を込めた作品。
争点は作品の所有権が作った生徒にあるのか、それとも
学校か。司法判断は揺れ動き、提訴から約3年半がたって
も決着はついていない。
訴訟資料によると、きょうだいは夏休みの課題として、
光合成やバイオマスエネルギー、免震構造などをテーマに
選定。実験道具もそろえて課題に取り組んだ結果、計6点
の作品は市の「特選」となり、商業施設でも展示された。
作品がなくなっていることが判明したのは卒業後。
両親の返還請求を受けて学校が調査した結果、6作品の
うち5作品が所在不明となっていた。きょうだいは両親と
ともに学校が無断で処分するなどしたことによって精神的
な苦痛を受けたとして、令和2年秋、神戸地裁に提訴した。
神戸地裁は昨年2月、家族の主張を認め、自由研究の所有
権は作成した本人に帰属しており、「学校への提出を無償
提供と解釈する法的根拠はない」と判断。学校側の過失を
認め、2万円の賠償を命じた。
大阪高裁は今年1月、1審とは全く異なる判断を示した。
作品の返却を前提としない運用がされてきたことは、学校
側に所有権があることを裏付けているとして、「提出後の
課題をどのように取り扱うかは教員が指導上の見地から
決めるべきもの」と認定。1審判決を取り消し、家族の
請求を棄却した。家族は大阪高裁の判決を不服として
最高裁に上告した。
学校現場のコンプライアンスに詳しい日本女子大の坂田仰
教授は
自由研究は確かに生徒側が費用を負担している。ただ、
例えば給食費を生徒側が負担していたとしても、残った
給食を処分するたびに許可が必要なわけではない。
生徒が作ったり費用を負担したりした全てのものを
「生徒の所有物」とみなすと、教員の判断で対処できる
幅が狭まり、学校運営に支障が出るおそれがあるという。
一方、今回の学校の対応については「当然すべき配慮に欠
けていた。事前の説明や生徒への同意をとっておけば事態
を防げた。その一手間を省いた結果だ」と苦言も呈した。
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