「“病気だから”と諦めたくない」。そう語るのは、重度の口唇口蓋裂の小林えみかさんと、小林さんの友人でトリー
チャーコリンズ症候群の山川記代香さん。見た目の症状を伴う先天性疾患を持つふたりは、同い年ということもあり、
悩みを共有できてなんでも話せる仲だという。
Youtubeチャンネルで対談したり、ふたりで講演会を行ったりしている彼女たちに、経験を重ねてたどり着いた
“外見との向き合い方”、そして他者とともに生きる社会への思いを聞いた。
ジロジロ見られたり、指をさされて笑われる
小林さんはこれまでに20回以上の手術を受けてきた。口唇口蓋裂に加え、両耳の高度難聴、小耳症、心臓疾患など、
複数の症状を抱える。「顎の病気の手術も何度か経験しました」と振り返るその声には、過去の痛みとともに、確
かな強さがにじむ。
山川さんもまた、16回の手術を経験してきた。「ミルクが飲めない状態で生まれて、口の上部の手術から始まりま
した。耳は耳たぶしかない状態で、片耳4回ずつ、計8回の手術を受けました」と話す。
幼い頃から幾度となく入院と手術を繰り返してきたふたり。身体的な治療だけでなく、精神的な痛みもまた深く、
長く続いた。
「小学生のころは、周囲の子にジロジロと覗き込まれたり、指をさされて笑われたりすることが多くて。難聴や噛み
合わせのせいでうまく喋れなかったこともあり、保育園ではほとんど話さなくなってしまいました」(小林さん)
山川さんも、似たような体験をしている。「自分の外見がすごく嫌だと思ったのは、小学生のとき。はっきりとそ
う感じたのはそのころが一番濃いですね」
子どもたちの無邪気な反応だけでなく、大人の無理解が突き刺さることもあった。いまでも、人前でマスクを外す
ことには抵抗があると山川さん。
「昔ほどではないですが、ぱっと見られたときに反応があったりするのは怖いな、と。いろんな視線が集まるので、
いまだにマスクを外すというのは少しストレスもあるというか……」(山川さん)
そうした感情は、子どものころの「視線」に対する記憶が、いまも消えずに残っているからかもしれない。
また少し意外なことに、同じ症状を持つ人と出会うことすら、最初は複雑な感情を抱いたという。
「病院で同じ病気の子を見かけると、やっぱり意識してしまって。見ないようにしたり、逆に見すぎてしまったり。
あのころは、自分自身を受け入れられていなかったからだと思います」(小林さん)
山川さんも、「同じ症状を持つ人を見たとき、自分を鏡で映し出されたように感じた」と打ち明けてくれた。
続
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee62fe00925a35eea7cca...
返信する