トラブル続きのマイナンバーカードを不信感から自主返納する人が全国で増えている。保有し続けるかどうかは個人の自由で、
交流サイトでも返納を呼びかける投稿が相次ぐ。最大2万円分の「マイナポイント」を取得した上で返納するケースもあり、
巨費をつぎ込んだカード普及事業の妥当性が揺らぎ始めている。
総務省によると、6月25日時点のマイナンバーカードの申請受付数は約9730万枚で、人口に対する割合は
約77・3%に達する。カード普及事業で申請が進む一方、自主返納の動きも全国の自治体に広がる。
仙台市は4日、5~6月で自主返納が49件に上ったと発表。「不備が多すぎる」「個人情報への不安」などの理由が多いという。
郡和子市長は「セキュリティー上の不安などで返納したということ。国には自治体の事情を踏まえて対応するよう要望している」と苦言を呈した。
今年3月、カードを使ったコンビニの証明書発行で他人の住民票が発行されるトラブルが発覚した横浜市では、6月前半の2週間で約50件の自主返納があった。
一連のトラブルで「不安になった」「信用できない」といった意見が寄せられているという。堺市では4月は9件だったが、5月には18件に倍増。
6月は20日時点で26件に達した。同市は「制度に対する不安感や不信感を口頭で伝える人はいた」としている。金沢市も5月は3件だったが、
6月に23件と急増した。宇都宮市では6月に1家族4人がそろって返納した。
ツイッター上でも「#マイナンバーカード返納運動」といったハッシュタグ(検索目印)をつけて返納を呼びかける投稿が増えている。芸能人が返納を報告するなど、
動きが収まる気配はない。カードの普及に大きく貢献した最大2万円分のマイナポイント第2弾は令和4年1月に始まった。あまり知られていなかったのは、カードを
返納しても、付与されたポイントは返す必要がない点だ。実際、ある自治体ではポイント取得後に返納したケースもあった。
総務省の担当者はマイナポイントについて「カード普及だけではなくキャッシュレス決済の普及も目的だった」とし、返す必要はないと説明する。
一方、カードを返納することのデメリットもある。カード取得者向けサイト「マイナポータル」にログインできなくなるため、自分の個人情報と
マイナンバーのひも付けが誤っているかどうかの確認ができなくなる。また、公金受取口座の情報などの個人情報とマイナンバーのひも付け自体を
解除することはできない。健康保険証とカードが一体化する際には結局、カードが必要となるので再発行手数料千円もかかる。
総務省はマイナポイント第2弾に令和3年度補正予算で1兆8千億円を計上した。制度への理解が進まず返納が今後も続けば、
ポイントをばらまいただけの事業となりかねない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/828d63a66915bb9aeb2b0...
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