まず刑事責任については、威力業務妨害罪と器物損壊罪が考えられます。
ここで、読者の中には、今後の集客を妨害した(売上を減少させた)ことを問題視している人も多いですが、
本件の問題動画は、過去の一時点に来店していた際の問題行動が事後的に拡散されたものであって、
今後、同様の行為をすることを予告等するものではありません。
過去に一度問題行動を起こしたというだけでは、今後も同じ行為をするとは言えず、
将来の集客減少については、直ちに責任を問えないのではないかと思います。
もちろん、こういう問題客がいれば、もう回転寿司には行きたくないという客は一定数いると思います。
しかし、今回の動画を見て、もう回転寿司には行けないと思う人は、この高校生が自分がたまたま行った店舗の、
同じ時間帯に来店して、同じイタズラをすることを不安に思っているわけではありませんよね。
他にも違う客に同じようなイタズラがされているかもしれないことを不安に思っているだけではないかと思います。
そうであれば、それは回転寿司の仕組み上、元から有り得たリスクが可視化されたに過ぎないのではないかと思います。
ちなみに、「威力を用いて」という要件については、一般に「相手の意思を制圧する程度の強い威勢を示すこと」と定義されますが、
必ずしも有形力の行使を意味するわけではなく、主観的な嫌悪感を根拠に清掃を迫らせるといった形でも成立します。
これは器物損壊罪についても同様です。醤油さしの注ぎ口を舐めただけでは、
その醤油ボトルの中身が全て科学的に汚染されたわけではなく、客観的には食品としての性質を失ったわけではありません。
しかし、主観的には食することができない状態ですので、器物損壊に該当すると言えます。
もし、舐められた醤油さしが特定できない場合には、店内にある他の醤油さしについても同様の主観的な嫌悪感は生ずるでしょうから、
店内の全ての醤油さしを清掃し、中身を廃棄することについて、器物損壊罪が成立するのではないかと思います。
一方、湯呑みや寿司レーンについては、清掃させることについては因果関係が認められても、
交換までは認められないのだろうと思います。清掃すれば、本来の機能を失ったとはいえないからです。
結果、刑事責任としては、特定店舗の湯呑み、醤油さし、寿司レーンの清掃業務を行わせることで正常業務を妨害した威力業務妨害罪と、
醤油さし中身を廃棄させることになった器物損壊罪が成立しうるのではないかと思います。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fukunagakatsuya/2023020...
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