小中9年間、在校生は自分だけ
でも独りじゃない:離島の卒業式
https://mainichi.jp/articles/20230320/k00/00m/040/... 生まれ育った離島の小中学校で9年間、ただ一人の在校生だった。
香川県丸亀市立小手島中学3年の今中章乃さん。
この春、学びやを巣立ち、「あっという間でした。
楽しい学校生活を送れたのは先生や家族、島の方々の支えがあったからで、感謝しかない」と振り返った。
中学の先生は5人。授業では「生徒役」の先生もいて教室で章乃さんと意見を交わした。
週1回は島外の中学に出向いて「交流学習」の授業も受けた。
昨年6月、島外の人を含め60人以上が参加した運動会では、
体操の指揮者、リレー、ダンス、綱引きなど一人で何種目もこなした。
「普段は一人なので寂しい面も。
でも生徒会長を務め、学校の代表としていろいろな所に出ることも多く、良い経験になった」と章乃さん。
同校の高井真治校長は「優しくて誠実。勉強も頑張り、3年間の成長はすごかった」と目を見張る。
章乃さんの父延好さんと母多美さんは夫婦で主にタコ漁を営む。
多美さんは「章乃が成長するうえで必要なことはすべて備えてもらった」と話す。
島の魅力について、多美さんは「島全体が大きな家族」と話す。
章乃さんが熱を出せば食べ物を持ってきてくれるなどいつも気遣ってくれた。
章乃さんは4月から島外の高校に進学し、香川県内の姉夫婦の家で暮らす。
両親は「今まで見たこともない世界を見て戸惑いがあると思うが、輝いてほしい」とエールを送る。
14日にあった卒業式には島民ら約50人が出席した。
将来は教育や福祉の仕事に興味があるという章乃さん。
「小手島に生まれて本当に幸せです。ここでの思い出を胸にこれから強い意志と誇りを持って
新しい道を前向きに歩んでいきます」。涙をこらえながら「卒業のことば」を述べた。
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