犬の殺処分が2021年度に初めてゼロになった茨城県が、その維持に苦慮している。22年度もゼロだったが、2月には殺
処分再開の危機があった。県の収容施設も、動物愛護団体のシェルターも、犬があふれる状態になっている。
県によると、犬の殺処分数は1990年度の約1万8600匹がピークで、2003年度に1万匹を、09年度に5千匹を切るなど減
少傾向が続いたものの、05年度からは8年連続で全国の都道府県で最多だった。
東京などの都市部と比べて、持ち家率が高い茨城は放し飼いにするケースもあり、無計画な繁殖で野犬が増えやすい背景
がある。
動物愛護意識の高まりを受けて、県は16年に犬や猫の殺処分ゼロをめざす条例を制定。犬や猫は「家族同様の存在」と
位置づけた。無計画な繁殖を防ぐために避妊や去勢の手術を飼い主に促したり、迷子の犬が飼い主の元に戻れるようマイク
ロチップや名札の装着を努力義務としたりして、21年度に殺処分はゼロになった。
だが、飼育放棄や迷子の犬、野犬は、依然として県動物指導センター(笠間市)と水戸市動物愛護センターに持ち込まれ
ている。水戸市の施設にはまだ余裕があるが、県の施設は想定の100匹を超える約170匹を収容している。
2月には県動物指導センターの27匹が殺処分対象になった。人への警戒心が強いなどとして、飼いたい人に譲渡できない
「譲渡不適」と判断した犬で、引き取り手が見つからないまま1年が経っていた。センターに登録している約80の愛護団体
と個人に引き取りを打診し、それと同時に、残った場合は殺処分の可能性があると伝えた。その結果、引き取り手が見つか
り、殺処分は免れた。
県の担当者は「不適の犬は引き取り手も苦労すると思う。『県の責任で処分すべきだ』という声も県には届いており、行
政としてバランスを取って判断している」と話す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/969cc538c2292020202ea...
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