他人のクレジットカード情報をもとに組織的に収益を得ていたとして、さいたま市にある貿易会社の社長が2月、兵庫県
警に逮捕された。「まるで錬金術師」。捜査員らがそう驚く手法でカネを増やしていったとみられている。
埼玉県越谷市の商業施設。1階の化粧品売り場の一角に、眉を描くアイブローペンシルが並ぶ。
捜査関係者によると、昨年7月中旬、1人の男性客が訪れ、店員に尋ねた。
「2400本欲しい」
客が買い求めたのは、資生堂の「眉墨鉛筆」。1959年発売のロングセラー商品だ。1本150円ほどで、男性客は総額約
36万円の大半をギフトカードで支払った。
7カ月後の今年2月。県警は、この男性客である中国籍の貿易会社長(41)を組織犯罪処罰法違反などの疑いで逮捕した。
容疑は、他人のクレジットカード情報で不正に購入されたギフトカード15万円分を、大学院生の男(28)=兵庫県西宮
市=から受け取ったというもの。このギフトカードが眉墨鉛筆の購入に使われたという。
クレカを不正に使われたのは埼玉県の60代男性だった。大手通販サイトの偽サイトにカード番号などを入力してしま
う「フィッシング詐欺」に遭っていた。
何者かがこのクレカ情報でギフトカードを買い、大学院生の男が自宅の寮で受け取った後に、貿易会社長の会社に送っ
ていた、と県警はみる。院生は県警に「闇バイトに応募した。社長の会社に20回以上送り、1回千円ほどの報酬をもらっ
た」と説明しているという。
なぜギフトカードから眉墨鉛筆なのか。
捜査員の一人は「社長は4年ほど前からこの商業施設を度々訪れ、眉墨鉛筆などを大量に購入する、有名人だった」。
県警が2月17日に会社を捜索すると、2万4千本もの眉墨鉛筆が見つかった。
奇妙な取引の背景にあるのが、この商品の海外人気だ。捜査関係者などによると、資生堂の眉墨鉛筆は中国では500円
程度で流通しているという。1本につき300円以上の粗利益が出る計算で、2万4千本なら720万円。ギフトカードをその
まま換金するよりも収益は増す。
直接クレカ情報を使ってネットで眉墨鉛筆を買わないのは、ギフトカードにいったん交換し、大学院生など途中に別の
人物をかませた方が犯行の痕跡をたどられにくいと考えたからではないかとみられる。捜査員は「まるで錬金術師。しか
も商業施設グループのポイントまできっちりためていた」と指摘する。
会社の口座記録などから、直近の3年間で不正に得た収益は総額で数億円に上ると県警はみている。
社長は調べに対し、ギフトカードは「正規で購入したもの」として逮捕容疑を否認する一方、眉墨鉛筆を中国へ転売し
ていたことは認めているという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb21dd2df66258d29aa40...
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