温暖化の要因にもなっている食品ロス問題に対する韓国の取り組みが世界から注目されている。大量の生ごみを有効活用す
る韓国のシステムは「他国のモデルになる」と米紙が報じている。
世界の政府関係者が視察に
世界では毎年、約14億トンの食品が廃棄されており、そのほとんどが埋立地に送られている。廃棄された食品は、腐敗が
進む過程で水や土壌を汚染し、最も強力な温室効果ガスのひとつであるメタンを大量に発生する。
だが韓国には、このような問題は存在しない。韓国は約20年前に食品廃棄物を埋立地に捨てることを禁じ、その大半が、
飼料、肥料、家庭用暖房の燃料にリサイクルされているのだ。
食品の廃棄は、地球温暖化の最大要因のひとつである。メタンだけのせいではない。食品の生産や輸送のために使われたエ
ネルギーや資源も無駄になるからだ。
韓国のシステムでは、食品廃棄物の約90%が、埋立地や焼却炉行きになるのを免れている。そんな同国のシステムは世界中
の政府の研究対象となっており、中国やデンマークなどの政府関係者も韓国のごみ処理施設の視察に訪れている。
2024 年秋までに生ごみと他のごみの分別を義務付けることを決めたニューヨーク市も、韓国のシステムを長年研究してき
た自治体だ。
韓国と似たような政策を実施している都市は世界各地に存在する。だが、それを全国規模で取り組んでいる国はほとんど
ない。その理由は「コスト」だと、炭素排出量の削減法を研究する団体「プロジェクト・ドローダウン」の研究主幹ポール
・ウェストは言う。
韓国政府はこのリサイクル事業に年間6億ドル(約860億円)もの巨額を投じているのだ。
それでも他国は韓国の取り組みに倣うべきだと、ウェストをはじめとする専門家は指摘する。「韓国の手法は、温室効果ガ
スの大規模な削減を可能にします」とウェストは言う。
韓国料理の食べ残し問題
韓国の伝統的な料理は、食べ残しが出やすい。ほとんどの食事に数皿から十数皿の副菜が添えられるからだ。そうして出た
残飯は長年、埋立地に運ばれていた。
しかし韓国の国土には山地が多いため、建設できる埋立地の数は限定される。埋立地と住宅地の距離も近くなってしまいが
ちだ。政府は1995年、紙類とプラスチックのリサイクルを義務化したが、生ごみは依然として他のごみと一緒に埋立地に
廃棄されていた。
そんな現状を変えるきっかけを作ったのは、埋立地から漂う悪臭に不満を訴えた近隣住民の声だったと、国の研究機関「ソ
ウル・インスティチュート」のユ・キヨンは振り返る。
汁物は韓国料理の定番であることから韓国の生ごみには水気が多く、かさが増して悪臭も強くなる。
「そうしたごみが埋立地に捨てられると、ひどい悪臭を放ったものでした」とユは言う。
2005年以降、食品廃棄物を埋立地に捨てることが禁じられ、自治体は何百もの処理施設を建設した。こうして消費者、飲
食店経営者、トラック運転手らで構成されるリサイクルのネットワークが完成した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6429d2d648ebb149729c7...
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