この夏、ある日本人のラーメン職人がモスクワを訪れ、取っておきの一品を紹介して反響を呼んだ。ロシアでは、ウクラ
イナで続ける「特別軍事作戦」によって西側諸国から制裁を科される中でも、不思議とラーメン人気が高まっている。この
職人のエピソードと思いを紹介しつつ、ロシアの最新ラーメン事情を探る。
◇現地の味の好みに合った「二郎系」
北国ロシアの夏が終盤を迎えた8月下旬のことだ。モスクワのラーメン居酒屋「クウ」に、その世界で知られるラーメン
職人の鯉谷剛至さん(53)が姿を現すと、ちょっとした騒ぎが起きた。食事中の客から拍手が湧き、鯉谷さんに花束も渡
された。
鯉谷さんはラーメン作りを指導するプロだ。エプロンをつけると、早速、厨房(ちゅうぼう)へ。大釜のラーメンスープ
を味見し、指示通りになっているかを確かめた。調理スタッフがキビキビと動く様子に「手際がよいですね」と満足げだっ
た。
「二郎(じろう)系ラーメン」。鯉谷さんが今回、伝授したのはこう呼ばれる品だ。豚の脂身からとった濃厚なスープと
太めの麺を使い、厚切りチャーシューを載せている。慶応大三田キャンパス(東京都港区)近くの店「ラーメン二郎」が学
生らを相手に、てんこ盛りの一杯を安く出したのが始まりだった。今では日本各地に系列店が広がり、「二郎系」と呼ば
れる一ジャンルとして人気を博している。
鯉谷さんは過去に自身が経営していた店で二郎系ラーメンを出していたわけでない。今回の訪露では、豚肉やニンニクと
いったロシア人の味の好みを考慮し、これらの素材を盛り込んだ「二郎系」を振る舞うことにした。そして、予想以上の手
応えを得ていた。
続く→
https://news.yahoo.co.jp/articles/c02febddb09549ea531df...
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