東京の北を走る高速道路の地下には、破壊的な気象現象に対する日本の優れた工学的解決策がある。
大規模洪水を防ぐために埼玉県にある河川流域の地下に造られたコンクリートトンネルと巨大な空洞のネットワークだ。極端な暴風雨や台風の場合にはこれが、首都を守るのに役立つ。
2300億円をかけて2006年に完成した「首都圏外郭放水路」は、大災害から都市を守るために膨大な費用を要するインフラ整備事業に積極的に資金を提供する国の姿勢を象徴しており、日本は災害への備えが最も整った一国となっている。
しかし、気候変動によって暴風雨がより強く、より頻繁に発生するにつれ、こうした高度なハードエンジニアリングプロジェクトだけでは、将来の洪水から地域を守ることは保証されない。
降雨量は増えるだろうし、このような構造物で全てを防ぐことはできないと、海外で開発援助を行っている国際協力機構(JICA)の石渡幹夫シニアアドバイザー(災害・水資源管理担当)は言う。
日本における自然災害と気候関連災害の総数の70%余りが水害だ。東京は歴史的にその最前線にあり、首都圏には4つの主要な水路を含め100以上の河川がある。
海面水位の上昇や「ゲリラ豪雨」の頻発、地下水の過剰くみ上げによる土地の継続的な陥没は、この地域の脆弱(ぜいじゃく)性をさらに悪化させている。
気象庁によれば、過去30年間で1時間に2インチ(約5.1センチ)以上の短時間だが激しい雨が降る頻度が1.4倍になっている。また、1時間当たりの降水量がその2倍の豪雨は1.7倍になったという。一方、世界の平均海面水位は2100年までに最大2メートル上昇すると予測されており、海面下にある地域の大部分にとって、高潮は大きな脅威となっている。
シンガポールにある東南アジア研究所のシニアアソシエートフェローで、気候変動への耐性の専門家であるビノッド・トーマス氏は「洪水や暴風雨による災害は増加し、その規模も急激に拡大するだろう」と予想。「日本は適応策については準備万端の部類に入るが、気候の方程式は急速に変化している」という。
急速な都市化は、洪水が壊滅的な人的・経済的損失をもたらすことを意味する。東京首都圏は世界で最も人口密度の高い地域の一つであり、1万3500平方キロメートルの土地に約3700万人が暮らしている。地盤沈下につれ拡大している海面下の「ゼロメートル地帯」には約150万人が住んでいる。
以下ソース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-14/S41L6...
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