自衛隊コンサートに中学生参加の是非
市民団体「不適切」と後援自治体に猛烈抗議の波紋
世界遺産の厳島神社で名高い宮島を有する広島県廿日市市で9月に開かれた
「自衛隊ふれあいコンサート」がやり玉にあがっている。市内の中学校の
吹奏楽部が参加し盛会のうちに終わったが、複数の市民団体が
「無防備な中学生を実力組織に取り込む」機会になっていると指摘し、
市と市教育委員会による「後援」に抗議した。
「はらわたが煮えくり返っている。本当に子供たちのためになるのか」
10月7日、廿日市市役所に市民団体「教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま」
の石原顕共同代表らが訪れ、市と市教委の担当者に、自衛隊のコンサートへの中学生の
参加は公教育にとって不適切などと訴える抗議文を手渡した。
コンサートは9月14日に市内の文化ホールで開かれた。自衛隊員の家族らで構成する
公益社団法人「自衛隊家族会」広島県自衛隊家族会が主催し、同県海田町の海田市駐屯地に
所属する陸上自衛隊第13音楽隊と、廿日市市立野坂中学校の吹奏楽部がコラボした。
これに、市と市教委が後援で名を連ねた。市教委によると、事前の合同練習を含め、
プロにも引けを取らない音楽隊の演奏に触れられる機会とあって生徒からの評判は
上々で、「感動した」との声も聞かれたという。
一方の抗議文はトーンがまるで違う。「軍」としての自衛隊に対して強い忌避反応を
示し、若者が近付けば戦場に送り込まれかねない、との危機感が文面からにじむ。
市民団体側からすれば実力組織である自衛隊が「成長途上で保護を必要としている
中学生の教育活動に『侵入』してくることは非常に警戒すべきこと」で、
「単なる親睦と音楽教育を超えて『無防備な中学生を実力組織へ取り込む』機会に
なっている」という主張だ。
内閣府が昨年3月に発表した自衛隊・防衛問題に関する世論調査(令和4年実施)では、
自衛隊に好印象を抱く人は90.8%に達した。市民団体も自衛隊の災害派遣活動などを
一定評価していないわけではないが、音楽を組織的に利用する自衛隊と捉える限り、
双方の隔たりは埋まらない。
市側は「質の高い自衛隊の音楽隊と一緒に演奏することは、専門性の向上や今後の
演奏に対する意欲向上につながる」と評価しており、来年度以降も後援の依頼があれば
粛々と応じる考えだ。
https://www.sankei.com/article/20241014-4467ZMWRVNKR7...
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