飲食店の倒産が過去最多
日本料理店や町中華に異変 見た目重視の戦略が裏目?
民間の調査会社・帝国データバンクによると、上半期に発生した飲食店の倒産
(負債1000万円以上、法的整理)は458件だった。前年同期の435件を上回り、過去最多を更新した。
このペースで推移した場合、年間件数は前年の894を超え、初めて900件台に達する。
業態別に見ると、居酒屋を主体とする「酒場・ビヤホール」が105件で最多だった。
前年同期から7件減ったものの、3年連続で100件を超える高水準となっている。
倒産件数が大幅に増えたのが「日本料理店」だ。今年の上半期は過去最多の46件で、前年同期の
30件から53.3%増加した。原因について、帝国データバンクは「若年層の顧客取り込みを目的に
価格を重視したメニューや、見た目にこだわった料理の開発を進めているものの、一方で
古くからの常連客が徐々に離れるといった状況にも直面し、難しいかじ取りを迫られた」と分析している。
町中華やラーメン店を中心とした「中華・東洋料理店」も12.8%増えて88件。こちらも過去最多を更新した。
飲食業界全体の倒産件数が増えた要因として浮かび上がるのは、依然として重くのしかかる食材費や
光熱費の高騰、人件費の増加だ。特に、夫婦で営むような小規模店から、スタッフ数名を抱える
中小規模店に至るまで、利益を確保する余地が限られており、「常連頼み」の店が限界に達しつつある。
東京都に本社を置く「こだわりや本舗」のように、コロナ禍で冷凍食品販売などの新規事業に挑戦したものの、
魚価や電気代の高騰で資金繰りが限界を迎えた例もある。飲食業界では“攻めた店”よりも、
“持ちこたえた店”の方が倒れていくという皮肉な構造が目立つようになってきた。
帝国データバンクは、「物価高や賃上げ圧力が続く中、中小・零細飲食店の経営環境は厳しさを増しており、
今後も倒産増加の傾向は続く見通し」とまとめている。街角で見慣れた「行きつけの店」が、
ある日突然シャッターを下ろす――。そんな光景は、これからますます増えていくのかもしれない。
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