「牛乳は体によくない」と信じている人が
注意すべきこと
田中越郎:東京農業大学名誉教授・医学博士
牛乳には、たんぱく質や脂質、カルシウム、ビタミンなど、
さまざまな栄養素が豊富に含まれている。
栄養学的に見れば、非常にバランスの取れた優れた食品だと言える。
しかし、その一方で「牛乳は体に悪い」という説が、
これまでに何度か日本中で大きく話題になったことがある。
栄養価の高さが知られているにもかかわらず、
なぜこのような説が広まったのか。
この説が広まった大きなきっかけは、2005年に出版された
一冊の本だったとされている。
米国在住の日本人医師が、牛乳が体に有害であると主張する
内容の本を出し、それがベストセラーとなったことが発端だという。
本の主張があまりに科学的根拠に乏しいものだったため、
日本の乳業団体などから、著者に対して科学的根拠を求める
公開質問状が出された。
しかし、その医師からの回答には、明確な科学的根拠は示されて
いなかったとされる。それにもかかわらず、この本は続編も
合わせて200万部を超える大ベストセラーとなり、
テレビなどのメディアでも繰り返し取り上げられた。
こうした経緯を通じて、2005年以降、「牛乳は体に悪い」と信じる人が
増えていったと考えられている。
ベストセラーになった本や、メディアで頻繁に取り上げられた情報は、
それだけで信頼性が高いように感じられてしまうことがある。
しかし、売れた本の数や話題になった回数と、
その内容が科学的に正しいかどうかは、まったく別の問題だ。
今回のケースでは、科学的根拠を求められても明確な回答が
示されなかったという経緯がありながら、本の影響力だけが
先行して広まっていったことがうかがえる。食や健康に関する
情報に触れるときは、その内容がどれだけ広く知られているかではなく、
科学的な根拠がどの程度示されているかに目を向けることが大切だ。
今日から試すなら、話題になっている健康情報を見たとき、
その根拠がどこにあるのかを一度確認してみることだけでいい。
https://diamond.jp/articles/-/39300...
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