「8時10分前」は「7時50分」?「8時9分」?
日本語学者の“意外な”見解とは
「8時10分前に集合ね」と言われたとき、それは7時50分のこと?
あるいは8時9分? 前者を迷いなく選ぶ人は多いかもしれませんが、
令和の若者の中には後者を選ぶ人が少なくないようです。
日本を代表する国語辞典のひとつ「三省堂国語辞典」の編纂者の一人であり、
「言葉の収集家」としても知られる日本語学者の飯間浩明さんに聞きました。
このような言葉の行き違いは、今に始まったことではありません。
数年前に話題になったのはこんな例です。
Aくんの身長は150cm
Bくんの身長は155cm
Cくんの身長は160cm
Ⅾくんの身長は165cm
Eくんの身長は170cm
さて、Cくんの次に大きいのはだれでしょう?
SNSでの個人による調査では「Ⅾくん」が50%、「Bくん」が33%でした。
今やそうなのか、と思いましたね。
では、もう一つ質問させてください。「明治以降の歴史」と言う場合、
明治時代は入ると思いますか?「明治以前の歴史」はどうでしょう?
こういう「どっちなんだ?」という問題はさまざまな会話のなかに潜んでいて、
今に始まったことではありません。ましてや「若い人は言葉を知らなくて
困ったもんだ」などという話でもないと思います。
どっちが正しいかではなく、どうすれば誤解がなくなるか
ということを考えたほうがいいと思うんです。
7時50分と8時9分では20分近い時間のズレが起こりますから、
その食い違いを防がないと大変です。片方が「正しい」とされる日本語を
使ったからと言って、待ち合わせ時間の間違いを回避することはできないのです。
自分の考える言葉の意味と、相手が考える言葉の意味はズレているかもしれない。
そう考えて「8時10分前」ではなく「7時50分に待ち合わせ」と伝えたり、
「明治以前の歴史」の代わりに「幕末までの歴史」と言ったりする配慮が
大切でしょうね。
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